近年、テクノロジー発達によって、いままで私たち人間が行わなくてならなかった作業をAIやロボットに代替させることができるようになるといわれています。
AIやロボット技術の発展に伴い、行政書士の仕事がなくなるのではないか?行政書士の将来性は大丈夫なの?と一部でささやかれていたりもします。
目次
行政書士の将来性
AIやロボット技術の進展により肉体を酷使する職業や危険な作業においては、実に喜ばしいことだと思います。
AIは多くの職業や分野での参入が予測されており、行政書士の将来性が気になるところです。
話題の発端は、2015年12月に株式会社野村総合研究所が、英国オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究により、国内の職業について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算したことです。
そこで、AIやロボットによる代替可能性が高い職業と低い職業を100種類ずつ発表しました。以下に一部抜粋します。
人間の仕事がなくなる職業、なくならない職業
代替可能性が高い職業
- IC生産オペレーター
- 一般事務員
- 医療事務員
- 受付係
- 駅務員
- NC旋盤工
- 会計監員
- 加工紙製造工
- 貸付係事務員
- 学校事務員
- CADオペレーター
- 研修事務員
- 行政事務員(国県市町村)
- 銀行窓口係
- 保管・管理係員
- 保険事務員
代替可能性が低い職業
- アートディレクター
- アナウンサー
- インテリアデザイナー
- エコノミスト
- カウンセラー
- ゲームクリエーター
- コンサルタント
- 工業デザイナー
- スタイリスト
- スポーツインストラクター
- バーテンダー
- ミュージシャン
- メイクアップアーティスト
など
上記の職業から、それぞれの職業の共通点がみえてきます。
代替可能性が高く将来的になくなりそうな仕事は、一般的な事務作業をする職業、特別の知識・スキルが求められない職業、データの分析や秩序的操作が要求される職業といわれています。
一方、生き残りそうな仕事は、芸術やクリエイターなど抽象的な概念や知識が要求される職業、他者との協調や理解、説得、サービスが要求される職業といわれています。
AIが普及する中で行政書士として生き残る方法
行政書士の業務はAIに乗っ取られるのか?
それでは私たちが生業とする行政書士は、どちらの職業に該当するのでしょうか?
なくなりそうな仕事に、行政事務員、行政事務員があります。どうも行政書士の業務は、これらの業務にあてはまりそうな印象がありますよね。
行政書士はAIによって廃業に追い込まれるのでしょうか。
これらの役所の窓口業務と行政書士の業務とでは、決定的な違いがあることに気づきませんか?
役所の窓口業務は申請書類を受け取る側の職業ですが、行政書士の業務は申請書類を作成し申請する側の職業です。
もう一度、生き残りそうな仕事をご覧になってください。カウンセラーやコンサルタントがあるのが確認できるでしょうか?
カウンセラーやコンサルタントは、行政書士の業務にも関係していると思うのです。
AIにとって代わられる行政書士
行政書士のことを悪くいう人は、代書屋と呼んでいます。
書類や文書の作成方法がわからない方や作成するのが面倒な方の代わりに、書類や文章を作成したりするのも行政書士の主な業務のひとつです。
この作業だけをクローズアップしたものの言い方が、まさしく代書屋なのでしょう。
確かに、書類や文章を作成の業務はフォーマットを作成してしまえば、単純な事項の穴埋め作業と大して変わらない作業もあります。
それらは行政書士の資格がない履行補助者であってもできる作業なので、人に任せている行政書士もすでにいると思います。
この手の作業であれば十分AIにも対応しますし、AIの方が正確性や信頼性が高い結果をもたらすことでしょう。
難易度の高い行政書士試験に合格しても、単純作業ばかりしている行政書士の仕事はなくなっていくのです。
さらに政府ではオンライン化を促進しています。
添付書類の電子署名化やファイルもPDFでも受け取り可能したりする動きがあります。
オンラインの場合、対面処理ではありませんから、ヒューマンエラーによる誤入力や誤作業を防ぐ上でもAI化の方が確実性が増すことも考えられます。
このような代書屋的な業務ばかりに頼ってきた行政書士は、AIによって危機感を抱いていることは否めません。
AI進展後も生き残る行政書士
実際にクライアントと顔を向き合わせて、コミュニケーションをはかり、カウンセリングを行う中で、安心感を与えたり、信用を得ることです。
人とのコミュケーションをはかることができるのは、やはり同じ人だけではないでしょうか。
相続、成年後見人などを扱う業務では、カウンセリングなしでは成立しません。
つまり、誰でもできる業務、もっと言ってしまえば人間でなくてもできる業務は淘汰されていくのでしょう。
行政書士に求められる業務は、より専門性が高いものや人間の心情に依存するもので、決してAIが相手では成立することがないものです。
将来、AIにもできる業務は誰にでもできる業務としての認識が高まれば、業務単価を下げざるを得ない状況に陥る可能性があります。
しかし、AIにはできず人間にしかできない業務となれば、逆に、業務単価を上げることもできるのではないでしょうか。
むしろ、単純な業務はAIにやらせて、自分は専門性を要求される業務に専念にする方がよいと考えるべきでしょう。
行政書士の将来性のまとめ
結論から申し上げれば、AIによって行政書士がなくなるわけではありません。良質の行政書士だけが生き残るのです。
私はAIの参入によって、廃業する行政書士と生き残る行政書士の二極化に拍車がかかると思います。
行政書士の将来性に不安を感じるのであれば、将来生き残るために何を自分の強みとするかをよく考え、行動していきましょう。
年齢が若い方ほど変化に対応しやすいので、むしろチャンスと捉えるべきだと思いますよ。