行政書士資格全般

特定行政書士と行政書士の違い

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行政書士を目指している方は、特定行政書士という資格があることを既にご存知のことでしょう。

特定行政書士は、官公署に提出する書類に係る許認可等に関する行政不服申立てに係る手続の代理を行うことができる行政書士のことです。

行政書士の資格を取得し、特定行政書士の研修を受講して試験に合格した方のみ「特定行政書士」を名乗ることができるのです。

(では詳しくみていきましょう)

特定行政書士とは

特定行政書士とは、2014年12月27日施行となった行政書士法改正による日本行政書士会連合会が実施する研修を修了した行政書士のことです。

特定行政書士ができる業務

特定行政書士ができる業務は、行政書士法(第1条の3第1項2号)で、その根拠条文を定めています。

前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。

法律によって、不服申立ての手続についての業務をすることを認められているのです。

業務範囲の注意点

この条文を読んで、注意すべき点があることにお気づきでしょうか?

「行政書士が作成した官公署に提出する書類」という箇所に注意しなくてはいけません。

つまり、自己(行政書士であることが前提です。)または、他の行政書士が顧客から依頼を受けて作成した申請書類の許認可等が拒否された場合に限り、不服申立て手続きの代理ができる規定となっているのです。

もし、申請書類が行政書士が作成したものではなく、本人が作成したものであったら、許認可等が拒否されても特定行政書士は不服申立ての代理が出来ない規定になっています。

本人作成の申請書類でも不服申し立てをする方法

本人作成の申請書類で許認可等が拒否された場合、その本人であるクライアントは、いままで通り、弁護士に依頼するしか解決策はないのでしょうか?

実は、拒否をされた理由を調査し、クライアントの意向との確認を煮詰めたうえで、再申請をすることができます。

この再申請は、特定行政書士が不服申し立てができるようにするためのステップも兼ねています。

つまり、この再申請もさらに拒否されたのであれば、特定行政書士は、再申請の拒否に対して不服申し立てをすることができるのです。みすみす弁護士に仕事をまわすことはありません。

ただし、個人的に便宜ははかっていただいたり、好意的にお付き合いをさせていただいている弁護士がいらっしゃる場合には、ケース・バイ・ケースで処理することも必要です。

 

特定行政書士になる方法

日本行政書士会連合会が実施する研修

行政書士法(第1条の3第1項第2号)に規定する業務を行うのに必要な行政不服申し立て手続の知識及び実務能力の修得を目的とし、行政書士法(第1条の3第2項)に規定する研修として、日本行政書士会連合会会則(第62条の3)の規定に基づいて実施する研修を受ける必要があります。

全講義の受講及び考査に合格しなければなりません。

日程は諸事情により変更されることがありますので、適時、日本行政書士会連合会の公式サイトで確認する必要があります。

申し込み期間は5月1日~5月31日までの1ヵ月間です。(ただし2018年は6月6日までに変更となっています。)

研修期間は7月~10月の間で、期間内で各単位会が指定するクールにて実施します。

講義科目

  • 行政法総論
  • 行政手続制度概説
  • 行政手続法の論点
  • 行政不服審査制度概説
  • 行政不服審査方の論点
  • 行政事件訴訟法の論点
  • 要件事実・事実認定論
  • 特定行政書士の倫理
  • 総まとめ

以上が講義科目となっています。

研修は、初回受講年度を含む3年間に限り再受講を可能とし、受講料の減免措置を講じています。

考査(試験)

  • 考査日は10月第3日曜日となっています。
  • 試験方式は、マークシートによる択一式(4択)問題で行われます。
  • 試験時間は、2時間です。
  • 出題数は、行政法総論を含めた手続法、救済法から20問+その他倫理等10問 = 計30問
  • 合格基準は、計30問中の約60%で18問正解が合格基準といわれています。

なお、合格すると特定行政書士の行政書士証票に、特定行政書士である旨が付記されます。

費用

初回および4年目に、8万円です。(テキスト代を含みます。)
なお、再受講生は、以下のようになります。
2年目:再受講+受験で4万円 → 2年目不合格 → 3年目:再受講+受験は無料
2年目:考査受験のみで無料 → 2年目不合格 → 3年目:再受講+受験で4万円
2年目:受講しなくてもよい → 2年目不合格 → 3年目:再受講+受験で4万円

特定行政書士の難易度(合格率)

平成27年度に第1回特定行政書士試験が実施されてからの受講者数や合格率は以下の通りです。

年度 研修受講者数 受験者数 合格者数 合格率
H27 3,638 3,517 2,428 69.04%
H28 1,453 1,173 766 65.3%
H29 610 617 399 64.7%

何年も昔に行政書士資格を取得した方にとっては、特定行政書士試験はやや難しく感じる方がいますが、行政書士の難易度ほど高くはありません。

近年、行政書士の本試験を突破した行政書士にとっては特定行政書士試験の難易度は決して高くはないという意味です。

今行政書士試験の勉強をしている方は、行政書士合格後、早めに特定行政書士の研修を受講しておく方が後々楽になると思います。

 

まとめ

特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立てに関する業務を行うことができます。

特定行政書士になるためには、行政書士(申込時点において、行政書士名簿に登録されている者)が、日本行政書士会連合会が実施する研修を受ける必要があります。

特定行政書士になってもあまり意味はないという方もいますが、制定されてから間もないですし、今後活躍の場が広がることもあります。

 
行政書士試験に合格すると登録等に費用がかかり、特定行政書士の受講料の出費は負担になるかもしれません。

行政書士試験の合格後のキャリアをどのように描くかによりますが、行政書士試験に合格してから月日が経つと、特定行政書士の試験も難しく感じるので早めに取得しておきましょう。

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