行政書士の試験に合格するためには、過去問をいかに上手く活用するかが大きく関係してきます。
でも独学がいきなり過去問を効果的に使おうとしても、ちょっと難しいものがありますよね。
そこで今回は独学受験生向けに、行政書士試験の過去問の使い方について案内いたします。
目次
過去問演習での注意点
過去問を、ただ解くだけでは何十回解いても無駄
過去問演習と聞くと、過去問を何回も何回も繰り返し解くことだと思っていたりしませんか?
それも一応間違いではないのですが、それだけでは恐らく一生行政書士試験に合格することはありません。
行政書士試験では、同じ問題が再度出題されることはほとんどないのです。
過去問と同じ条文や判例の知識を問う問題を出題するにしても、別の方向からアプローチをかけてくるので、ただひたすら過去問を解いているだけでは早い段階で伸び悩むことになります。
しかも行政書士試験の出題範囲は広いので、過去問をひたすら解いて丸暗記をするという戦法も全く歯が立ちません。
リーガルマインドを身につけるべし!
行政書士試験に合格したいならリーガルマインドを身につけるべし!
ちょっとカッコよく書いてみましたが、何のことはありません。
リーガルマインドを身につけるとは、「とある事柄に対して、何故そうなるのかを自分の頭で考えて導き出しましょう」ということです。
本当はもっと難解ですが司法試験を受けるわけではないので、ここではこのくらいの感覚だと思ってかまいません。
行政書士試験に合格するためには、この「自分の頭で考えて答を導き出す」習慣をつけることが必要なのです。
法的思考力のつけ方、伸ばし方
法的思考力を高めるために...
過去問を解く時は、ただ何となくで解くのではなく、一つひとつの肢の正誤判断に「何故正しい(間違い)と思ったのか」を考えながら解いてみてください。
恐らく最初はまともに理由をつけることはできないと思いますが、気にせずどんどんやりましょう。
できたら最初の一周は、頭の中ではなく紙に書き出した方が、理解度がはっきり目に見えてわかりやすいと思います。
最初のうちは、理由すら書き出せず愕然とすると思います。。
それを何度か繰り返していくうちに、法的思考力が身についてきて、初見の問題でも自分の頭で考えて解くことができるようになってきます。
そうなったらしめたもの!行政書士の試験合格に近づいていると思ってください。
五肢択一と一問一答の過去問集を使い分ける
行政書士試験の過去問集には、五肢択一式の過去問集と一問一答式の過去問集があります。
どっちをやればいいのかというと一長一短です。なので、できれば両方やった方がいいというのが答です。
五肢択一の過去問集
まず五肢択一式の過去問集に関する特徴ですが、本試験と同じ問題形式なので五肢択一式なりの解答テクニックが身に付きます。
五肢択一式のもっともわかりやすいのは「正しい(間違っている)組み合わせを選べ」という組み合わせ問題です。
例えば、正しいと思った肢がアで、イかオのどちらが正しいか判断が付かない場合。
選択肢を見るとア-イの組み合わせはあるけどア-オの組み合わせはないからア-イが正解…といった具合で、完璧に理由を説明できなくても、消去法で選択肢を絞り込むことができるのです。
五肢択一の過去問演習の場合、1問(五肢)を何分で解けるのかを確認するのにも役立ちます。
本試験では五肢択一を1~3分程度で解かなくてはいけません。どのくらいの早さで解かなくてはいけないのかを早い段階で知っておくと、その後のスピードアップの目安にもなります。
一問一答の過去問集
一問一答式の良いところは、一つひとつの正誤判断がつけられないと答が出てこないこと、つまり法的思考力を身に付けるのにもってこいなのです。
五肢択一で何となく解けていた問題でも、肢だけポンと抜き出して○か×かと問われると、案外わからなかったりします。
1/2の確率で当てることはできても、理由をつけて確実に正答するのは難しいのです。
五肢択一だと肢を残り2つくらいまで絞るのは難しくないので、自分でも気付かないうちに答を覚えてしまっている場合もあるのです。
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過去問正答率9割でやっとスタート地点
過去問をやってみたら案外すんなり解けて、さらっと6割正解したりする場合もあります。でも、これで喜ぶのはまだ早いのです。
実は行政書士試験の基本テキストは、過去問から論点を抜き出してテキストにしています。
だから、基本テキストを読んだ後で過去問が解けるのは、ある意味当たり前なんです。
行政書士試験合格レベルまで力をあげたいなら、過去問9割正解してそこからがスタートだと思ってください。
本当は過去問正答率10割と言いたいところですが、人間とは忘れる生き物でもありミスをする生き物でもあるので、10割完璧は難しいところです。
9割の過去問をきちんと理由をつけながら正誤判断できれば、本試験4割くらいは取れると思います。
そう、それくらい勉強しても4割程度しか取れないのです。
あとの2割は、模試、予想問題、六法などから知識の穴を埋めて、6割正答する力を身につけるのです。