たとえば、ご自身の知人や友人に「行政書士になろうと思っている。」と話したとき、その知人や友人はどのような反応をするでしょうか。
おそらく「行政書士って何やる仕事なの?」とか「行政書士は仕事がない...」と言われることが多いと思います。
あるいは、ネットで調べてそういうコメントを見ることも多いかもしれません。
結論からいうと、行政書士の仕事がない!は間違ったイメージです。
目次
資格だけでは無理
行政書士は仕事がない..という大半の方は怠慢です。そもそも、行政書士の資格を取得した=仕事がある、、、ではないからです。
これは行政書士に限ったことではありません。弁護士でも、税理士でも、司法書士でも、中小企業診断士でも...同じこと。どんな難関資格を取得しても、仕事を取る努力は必須なのです。
独立開業しても廃業をする行政書士がたくさんいます。でもその一方で、私の周囲には行政書士でも年収1,000万円を超える人はたくさんいますし、中には年収2000万円、3000万円超える方もいます。
行政書士はショボい、食えない、仕事がない...というのは前提として間違っていると思うのです。
今回は、どのような活動をすれば、行政書士として成功をするのかについてご紹介いたします。
行政書士の仕事の取り方
行政書士に合格し独立しても、仕事は取れません。
繰り返しになりますが、これは行政書士に限ったことではなく、弁護士でも税理士でも同じことがいえます。つまり、資格取得と経営は別の話だからです。
あなたが有名人でない限り、知人、友人を除けば、世の中の人は誰も、ご自身が行政書士を開業していることを知りません。
つまり、行政書士試験に合格し独立した後は、仕事を取るための営業活動や仕事を依頼してもらうための工夫をすることが必須なのです。
営業活動をする
稼げない行政書士はそもそも営業活動をしていません。行政書士事務所を構えて殿様商売なんてできません。
まず、営業活動です。営業活動の基礎は、昔も今も基本的には変わりません。
たとえ、インターネットを利用していたとしても、実際に自分の足で動いて回る営業活動が必要でなくなるわけではありません。
お会いした人の人数や配った名刺の枚数が、顧客を得るための窓口になることは、現在でもなんら変わることはありません。
ですので、まず人と人との繋がり、人脈やクチコミを大切にしましょう。積極的に地域活動などに参加するのもよいでしょう。
稼いでいる行政書士の中には、いわゆる酒の席に出席するために、1年目は300万円近く使ったという人もいます。(これは極端な例ですが)
お酒が入ると陽気になる人が多いので、人間関係を築いたり、顔を覚えてもらったり...やはり仕事を取るキッカケにはなります。
集客力をつける
ひと昔前であれば、事務所の外に看板を掲げることや電話帳に広告を載せる程度しか宣伝の方法はありませんでした。
現在は、事務所の外に看板のほかに、インターネットを利用して集客することができます。
個人情報保護法の浸透と携帯電話の普及によって電話帳を広げる人が少なくなったので、インターネットを利用する比重は高くなったといえます。
ですので、行政書士として独立開業するのであれば、まずホームページを準備しましょう。
現在は知識がなくても自分自身でもかんたんにホームページを作れる時代になりました。まずは自分で作り、儲かってからプロに依頼するとリスクが少なくてよいと思います。
サービス面で工夫する(差別化する)
行政書士は、弁護士や司法書士に比べて、知名度が低いのです。これは紛れもない事実です。
では、どうしたら、顧客に相談にきてもらうことができるのでしょうか?
まずは、相談がしやすいように初回のサービスに重点を置くのがよいでしょう。
たとえば、初回の相談を低額に設定したり、または無料にしてしまうのもよいです。初回は時間無制限で相談にのるのもよいでしょう。
顧客側としても最初は、何を話したらよいのか整理がつかずに、時間ばかりが過ぎていくことが多いのです。
このような方々は、初回の時間無制限の中でも肝心なことを話しきれないことが多く、次回の有料相談にきてくれることが多いのです。
提案力を身につける
他の行政書士なら誰でもできる事務処理を提供していては、価格競争に巻き込まれます。
依頼された書類の作成だけで終わるのではなく、相談やヒアリングする中で得た情報を基に提案やアドバイスをするようにしましょう。
一見無駄な行為に思えるかもしれませんが、それ自体が付加価値なのです。
「この人は他の行政書士とは違う。今度もお願いしよう。」とリピートに繋がったり、「提案内容がいいから、それもぜひ」と発注単価が高まるのです。
このように、単なる事務屋さんになって低価格競争に巻き込まれるのではなく、提案力を身につけるとよいでしょう。
ダブルライセンスで付加価値を高める
サービスを工夫して、頭と足を使って積極的に営業活動を続ければ、十分生活できる収入を得ることができます。
ですが、もう一つ他の資格を取得し行政書士とのダブルライセンスで自分自身の付加価値を高める方法もあります。
宅地建物取引士とのダブルライセンス
何かと手続きの多い不動産業界に近づくために、宅建士の資格を取得する方法があります。
たとえば、不動産の事務所では、書類関連の代理人として仕事を担うことができます。
行政書士を合格した人であれば、宅建士試験は比較的かんたんです。多少の勉強は必要ですが、宅建士の資格を取得するのも一つの手段です。
司法書士とのダブルライセンス
行政書士の業務範囲を広げるために、司法書士の資格を狙うのも一つです。
相続や遺言の問題を扱う業務にかかわりたい場合、行政書士だけでは、不動産の移転登記に関する書類の代理人になることはできないからです。
行政書士試験対策で学んだ「憲法」「民法」「会社法・商法」の3科目は司法書士試験に活かせるので、ゼロから勉強するよりも合格はしやすいです。(実際、行政書士合格後に司法書士を受験する方は多い)
ただし、司法書士の合格率は3%の狭き門となっています。合格基準も行政書士のような絶対評価制ではなく、合格人数を調整するための相対評価制をとっているので注意が必要です。
FP(ファイナンシャルプランナー)とのダブルライセンス
司法書士とおなじように、相続と遺言を業務とする行政書士に向いている資格です。
ファイナンシャルプランナーの資格を取らなければできない業務があるわけではありませんが、一通りの知識を身につけることができます。行政書士より難易度が低いので、取っておいて損はしないでしょう。
さいごに
受験生時代は、行政書士試験に合格することが目標でした。
しかし、試験に合格するとはゴールではなく、行政書士として業務をするためのスタートラインに立つ資格を得たに過ぎないのです。
つまり、本当の勝負とは、行政書士試験に合格してから始まるのです。いかにして営業戦略を展開していくのかが重要なのです。
工夫と努力を怠る行政書士は廃業に追い込まれます。でも、工夫と努力をつづける行政書士はどんどん仕事を取り、価値を提供し、収入を増やしているのです。